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ー私は何者でどこから来てどこへ行くのかーガンプラとか小説、映画、自転車など

【チルドレン/伊坂 幸太郎】読んだよ

19年の1冊目。

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チルドレン【電子書籍】[ 伊坂幸太郎 ]
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以下の5作品の短編集。

  • バンク
  • チルドレン
  • レトリーバー
  • チルドレン2
  • イン

短編なのだけど、長編としても読める。その点はツボった。

短編それぞれに物語としてオチが付いていて、話しはサクサク展開していくのだけど、「複数の話しにまたがって登場する人物がいる」という手法によって、長編としても読めるように仕上がっている。時系列でみた時に行ったり来たりしてるのも良かったかな。

Google先生に尋ねると【家庭裁判所調査官の話】という紹介が目に付くけど、5本全てに調査官が登場するわけではないので、何かのバイアスというか力学を感じます。

 

それはそれとして、伊坂幸太郎の本を初めて手に取ったのは【重力ピエロ】で、これはすごく引っ掛かってしまった。申し訳ないことだけど、悪い意味で。

引っ掛かりすぎて納得できず映画まで観たくらい。それでも釈然とせず、この作家の作品を購入することはないだろうと思ってたのだけど、手元に舞い込んできたので読み進んだ。

そして【重力ピエロ】からの予想に反して、本作は面白かったと思う。

 

さてさて、その差異はなんなのか?と問われれば

 

  • 要因1:「短編だったから」

つまり「突っ込みどころはあるものの、もやもやしている内に話が終わる」からじゃないかなと。

 

昨年来、とある作家の作品で広義のシリーズといえる物語を43冊読了している。1冊3時間で計算して130時間、寝ずに読んだとして5日強の時間をかけたということになる。それだけの時間を費やしても、私の脳みそでは突っ込みどころが見つからない物語で、読んでいておかしいな?と思わないではないが、多分自分の記憶違いや思い過ごしだろうというところに落ち着いてしまう。

だからこそ40冊以上読めてる。

 

閑話休題、残念ながら本作チルドレンは多分そういう作品ではない。

前提Aの元に話が展開しているけど、Aは現実問題としては成り立たないよね?という部分は【重力ピエロ】と同じくある。ただ、短編なのでそのことを考えている内に話しが完結する。そして内容としてはけっこう清々しく完結する。これも良かった。

 

とはいえ、それだけならただサクッと読めた作品、というところにとどまる。本作は、読後「面白かった」のだから、その要因は他にもあるんじゃないかと考えてみた。

 

  • 要因2「キャラが自分にも理解できる設定で、役割分担がはっきりしていた」

からかな。これは【重力ピエロ】とは大きく異なる部分かと思う。

 

小説に限らず物語に触れる段では、ミステリーなのか、ハードボイルドなのか、青春文学なのか?などをあまり考えずに手に取る習慣があって(というか、そんなものは読みながら観ながら自分でカテゴライズさせてくれ!という単なるわがままとも言えるけれど)、自分の中で行われるパズルにパチリパチリと嵌ってくれたのかなと。

パズルというのは普通「完成すると絵が出来る」というヒントに基づいてピースを繋いでいくのだけど、もしピースに何も描かれていないものだったとすれば(ヒントが無いとすれば)、何らかの報酬が無い限り手を出さないと思うんだよね。

で、物語というパズルを完成させるのに必要なヒントは何か?と考えると、それは自分の経験上ありえるだろうという予測の範囲内なのかどうか?ではなかろうか。

B級映画なんかに散見されるけど、物語は受け取る側の予測から外れていけばいくほど、展開に納得がいかず先へ進みづらくなる(後に「なるほど」がある作品は良作でしょうが)。

まぁ、予測もへったくれもない明らかな落とし穴のようなSF作品にも手を伸ばす節操のない私ではありますが、現代という設定でなんなんだこのパズル、いったい俺をどこへ誘うのだ?という暗闇状態になるのはツライよね。

多分プラモデルだって、組んでも組んでも、貼っても貼ってもただ白い面が広がっていくだけだったら面白くないものね。その白い面に意味がなければ。

 

ということで、まとめると

  • ギリギリ細かいとこが気になる前に話が終わったから読めた
  • ギリギリ予測の範囲内だったから読めた

ギリギリと付けずにはいられないのだけど、ギリギリを付けることにより、実も蓋もない感想にはなりますが、以上が正直なところです(ギリギリを楽しんだ感)。

 

とまぁ、読後、上記のようなことを考えさせられる作品でした。

そこで、作品中の登場人物の言葉が頭を掠めます。

「大事なのは何を読ませるかじゃない。何かを考えさせることだ。」

嗚呼、ということは良い作品ということか。と気付いてしまい、すごい負けた感。笑

 

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